2025年01月23日

共通テスト 地学問題の解説(後編)

 共通テスト地学問題後半の解説をします。単純に書いていきます。

第3問
A変成作用とマグマに関する問題
 問1 藍晶石・珪線石・紅柱石の形成条件に関する問題
  条件と関連した岩石は何か
  結晶質石灰岩に二酸化ケイ素は含まれない
 問2 マグマのでき方から火山噴火までのようすについて
  地下にあればマグマ、噴出すると溶岩になる
  結晶分化作用は塩基性マグマから酸性マグマができる過程
B地質図の読み取り
 問3 地層は北西から南東方向なのでおおよその走向はわかる
  山側は南西方向に膨らんでいるので傾斜は北東方向
  ビカリア化石から地質時代を判定
 問4 判定法は [4] と同じ
 問5 年数と半減期の関係でKAr法が適切(ちょっと長いが)
  Kは塩基性岩では少ない
C生命活動と地球環境
 問6 二酸化炭素が多いと温暖化する事に注目 
  好気性生物の出現は光合成細菌による酸素蓄積後
  全球凍結後に多細胞生物が出現した
 問7 ウルム氷期は7万〜1万年前
  酸素同位体組成比は気温変化の判定によく使われている

第4問
A気象に関する問題
 問1 天気図から風向気温を読み取る問題
  日本海低気圧での天気変化は
   寒冷前線通過前:暖かく南寄りの風
   通過後:寒く北西寄りの風
  候補は出発地で2ヵ所到着で3ヵ所ある 満たす組合せは?
 問2 大気の安定不安定に関する問題
  ややこしくて覚えにくいのでいつも困っている
  任意の高さでの温度は安定>湿潤>乾燥>不安定になる
  昇っていく空気の温度(湿潤or乾燥)が周囲(安定不安定の線)より低いと安定
 問3 相対湿度の計算
  現在の水蒸気量を計算してから夏冬の湿度を求める
B海洋に関する問題
 問4 黒潮についての知識があるか
 問5 潮流が強くなるという言い方に違和感がある
  ア 起潮力は瀬戸内海全域で均等にかかるので不適切
  イ 吸い上げ効果 瀬戸内海に限った現象ではない

第5問 宇宙に関する問題
A原始星についての問題
 問1 形成初期はガスに覆われていて見えない ガスがない方向ではどうなる
 問2 ガスが集まり始めた直後はまだ暖まっていないから赤外線でも光らない
 問3 ウィーンの変位則を使った計算 係数がわからなければ太陽を利用
B食連星についての問題
 問5 光の波長変化とその原因について
 問6 惑星質量の違いによる変化の差
  波長(速度)の違いは公転速度
   共通重心をまわっているから質量が大きいほど半径が大きい
  明るさの違いは惑星が恒星面を隠す大きさ

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 基礎がしっかりできていればそれなりに解けたかなと思います。基本的には[ 4 ](鉱物晶出順序)と[13](地質図の判読)のように全く違う問題のように見えて考え方はいっしょというものがあります。これだって日常に使っている事項の応用のようです。例えば散らばったトランプを上から順番に拾っていくというようなことです。意外と覚える量は少ないのかも知れません。
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2025年01月22日

共通テスト 地学問題の解説(前編)

 昨日に引き続き先日あった共通テストの問題の解説をします。今日は地学です。多いので前編と後編に分けて書きます。ちょうど半分にはできないので量の多少のバランスが取れるところがありません。とりあえず第1問第2問までを前編とします。地学基礎もそうでしたが、答えは発表されているので書く必要はありません。問題を前にして悩んでいる人がいたらこう助言するかなという内容です。

地学問題について
第1問 地学で使われる観測・測定器具について それぞれの使い方を知っているか
 問1 プリズムについて 光の波長と色の関係がわかっているか 文面からたくさん曲がっているほど波長が短いことが読み取れるか
 問2 地磁気伏角の測定について 東京ではN極は斜め下を向く 南磁極では上向き
 問3 クリノメーターの使い方
  走向 層理面に器具の底面の長辺をあわせて水平に保つ
  傾斜 層理面に器具の側面の長い面をあて、目盛針が動くように傾きを調整する
 問4 岩石顕微鏡からの晶出順の読み取り
  AはBに取り込まれているように見えるからAの方が早い AとCではどうか
 問5 ラジオゾンデというより高層気象についての問題
   夏:等高線の間隔が広く風は弱い 冬:間隔が狭く風は弱い
 ラジオゾンデ放出は自動化されていると思うが(出題の写真はいつのものだろう)
ラジオゾンデの放出
      この写真は10年ほど前に南大東島測候所で写しました

第2問
 問1 地磁気の変動要因について
  23は変動の周期と比較 4は地磁気逆転現象
 問2 うるう秒の発生原因について
  仮想太陽=平均太陽 公転周期は変動していない
 問3 走時曲線の読み取り 
  縦軸が走時なので切点は震源の深さを伝わる時間
  震源から45度で伝わってくる地点のP波走時はそれの1.4倍
  この点の震央距離を求める
 問3 地震波トモグラフィー
  地震波は固い物質ほど速い プルームとスラブの意味

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第2問問3で問題の読み間違いをして、解答にやたらと時間がかかってしまいました。グラフの縦軸が0秒で始まっていなかったので、実際に求めるときに使われる到着時刻と勘違いしていたのが原因です。単純に走時なので震源の深さを進むのに要する時間は切片から求められます。到着時刻なら未知数が3つになるので、0km45度地点の他にもう一ヵ所の組合わせが必要になります。
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2025年01月21日

共通テスト 地学基礎の問題解説

  18日19日と共通テストがありました。いつも地学関係の問題を確認しています。今年は地学基礎・地学とも19日にありました。問題文が公表されたのはいつかはっきりしませんが、昨日の夜にネットから入手が農になっていました。さっそく、地学基礎・地学ともダウンロードしました。じっくりと問題文を読んで解説というか解き方とか気の向くままに書いていくことにします。今日は地学基礎について書きます。地学については後日です。
 地学基礎は、基本事項さえしっかり押さえていればじゅうぶんに解けたと思われます。それなりに勉強していれば、だいじょうぶだったでしょう。毎回思うのですが、誤っているのはどれかという問題と正しいのはどれかという問題が混じっているのは混乱の元になるので何とかならないでしょうか。

 各問ごとに順番に書いていきます。
第1問
A太陽系天体や地球の構造に関する問題
 問1 惑星が大気を持つ条件について
  問題文に大気を持つ条件についてかかれているがつられないように。
  単純に図から読み取れる事項のみを考える−−ちょっといやらしい問題かな
 問2 大山脈ができるところの条件について
  沈み込まないは一般的にいわれている通り密度が小さいからと考える。
  厳密に考えるとこれが正しいのか疑問である。
  海洋地殻もマントルに比べて密度が小さいが沈み込んでいるのではなさそうです。
  付加帯では緑色岩類の起源となっています。
B火成岩と火山に関する問題
 問3 火成岩名の命名について
  二酸化ケイ素の含有量比から酸性岩類、中性岩類、塩基性岩類かを見分ける。
  境界値がわからなくても3つの値が離れているからどれかに当てはまると考える
  どちらが酸性岩なのかを間違えないように。
  組織から火山岩か深成岩かが区別できるので、組み合わせで名前がつけられる。
 問4 ポンペイの火砕流についての質問
  ウ 噴煙の高さは大気の層状区分のどこにあたるかを答える。50km以下が成層圏、以上が中間圏。
  エ 噴煙柱内の大気を引きずり下ろしてくるので何があるかを考える。
   火砕流の特徴として高温であることがいえるので単純に穴埋めなら熱風としても×にはできない。
C堆積構造についての問題
 問5 Cはサンドパイプ(砂管)のようにみえる。古生物の巣穴がのこされたものです。
  底痕ではなさそう。他の3つはそれぞれに典型的な特徴がみられている
 問6 流向を推定できるのは、斜交葉理・底痕・漣痕の3種。
  漣痕は下流側の傾斜がきつくなることから判定できる。
  底痕は典型的な写真は掲載されていない。

第2問大気と海洋に関する問題
 問1 放射冷却のしくみついて
  aは日本海低気圧(春一番型) bは移動性高気圧型 の天気図
   低気圧・高気圧の通過に伴って天気がどのように変化するか
 問2 蒸発量過多のところから降水量過多のところに水蒸気が運ばれていると考える
  =グラフの低いとことから高い所へ
 問3 塩分濃度は%で書かれていることが多いが、問題は千分率と書かれている点に要注意
  海氷ははぼ塩分濃度0と考えてよい

第3問
A宇宙の進化に関する問題
 問1 宇宙のできはじめから何が起こったか順番に知っているか、その要因はなにか
 問2 光の進行を妨げるのは荷電粒子の存在
B銀河系の構造
 問3 太陽の銀河系内での位置、銀河系を観測できる事項(天の川)
 
第4問 自然災害と人為起源の現象について
 問1 横軸が影響する範囲、縦軸が継続時間と理解できれば容易に解ける
  エルニーニョ現象は赤道付近の太平洋での現象、全地球的に影響していつが現象そのものではない
 問2 砂層・泥層の厚さはそれそれの間に関係がないことが読み取れる
 問3 大きな地震の後に起こる小さな地震が余震


posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2024年03月12日

大阪公立高校一般選抜検査問題

 昨日大阪公立高校一般選抜検査がありました。きょう、問題が確認できました。いつものように理科地学関係の問題について考え方・感想・コメントなど書くことにします。問題は理科の大問1にあります。

(1)土砂が堆積する場所について( )内から適切なものを選べという問題です。選択肢は省略します。
a水の流れが(  )なった所に堆積しやすい
 厳密には流れが遅くなる所に堆積します。遅く(ゆるやかに)なったではありません。遅くなってしまうと堆積する粒子が運ばれてこないからです。このあたりは教科書でも平気で間違っています。いつになったら修正されるのだろうかと思っています。厳密に言えば答えはない事になりますが、妥協して「ゆるやかになった」で正解としないといけないのでしょう。
b河口に到着した土砂は粒の(  )ものほど……、陸から離れた海底に堆積しやすい
 答えは単純なのですが、「河口に到着した」の文面からでは河口での堆積物を聞いているような印象を受けますが、実際にはそうではないことが最後まで読んでやっとわかります。問題の出し方としてはとてもいやらしいと感じます。

(2)堆積岩に属するものを聞いています。答えは一つしかありません。前の問題からの続きと思ってしまうと答えが出ないかも。

(3)堆積した地層のうち、最も新しいものはどれか。
地層累重の法則に従うと書かれていますから、一番上にある地層を答えることになります。それにしても石灰岩の地層とは。琉球石灰岩とかありますからいいのかも知れませんが、何となくぴんときません。

(4)レキ、砂、泥のうち粒の大きさが最も小さいものは( )で最も大きなものは( )である。
 大きさの違いがわかっていれば簡単に解けます。正しい答えの組み合わせを聞いています。答える側からすると手間ですし、選択する間にミスをすることもあります。個々に書かせてはどうしてダメなのかよくわかりません。

(5)環境を手がかりとなる化石を何というか。またサンゴが生息する環境はどれか
 どちらも基礎事項です。間違えるはずがない。といっても、宝石サンゴの化石だったらどう答えていいのだろう。

(6)地面の高さの差と地層の高さの差がちくらかという問題
 この手の問題は解き方がしっかりしていないので考えるのに苦労するのでは。地学ではなく数学(空間幾何学)の問題と思っています。断面図を書けばすぐにわかりますが、この方法で指導されているのかどうか疑問。

(7)火山灰をもたらした噴火は砂がたまっている期間におこったと考える理由はなにか
 正解として書かれているように「砂層に挟まれているから」と見るのが普通なのでしょう。でも、砂層・火山灰層・砂層と順番にたまっていったとみてはいけない理由は何なのでしょうか。砂層に泥層が間にあっても「砂がたまっている間にどろが」とは考えません。答えとして正しいのは、「火山灰は砂とは別のしくみで短期間に堆積するから」になりそうです。砂層に挟まれているからでは不正解にしたくなります。出題ミスというより解答想定ミスレベルの問題です。

(8)火山灰がでてくる深さは?
 コメントは(6)と同じです。

問題通しての感想です。(6)以後を除けば基本的な問題かな。ここは違う設問にした方がよかったのではと思います。
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2024年02月21日

大阪府公立高校特別選抜等の試検問題

 今朝の新聞に、大阪府公立高校特別選抜等と書かれた問題が載せられていました。昨日にあった特別選抜入学検査の問題文です。いつも通り、問題についていろいろと考察することにします。
大問1は植物の体のつくりに関する問題で、生物分野からの直出題になります。
大問2は電気の性質と電流・音の性質に点いての問題で物理分野からの出題になります。
大問3はアンモニア・水素・二酸化炭素・酸素の性質を確認する問題で化学分野からの出題になります。
大問4が地学分野からの出題です。詳しく見ていくことにします。
中問1は太陽系の天体についての問題です。基本的には地球型惑星と木星型惑星の違いについての聞いています。
小問1は地球の大気組成についての質問です。一般常識の範囲内です。
小問2は惑星の所属グルーについての質問です。これもほぼ一般常識といっていいでしょう。
小問3は惑星をまわっている天体の総称です。これも一般常識の範囲内になります。
中問2は湿度と水蒸気量に関係した問題です。
小問4は乾湿計からの湿度を求める問題です。やったことがあれば簡単に解けるでしょう。習ったことが理解できているかどうかがポイントになりそうです。
小問5は相対湿度の計算式に関係する問題です。要求された形で式を作れるかがポイントになります。定義式の意味が理解できていれば簡単でしょう。
小問6は水蒸気量・飽和水蒸気量についての問題です。
1つ目は、露点という用語の意味を知っているかが問われています。一般的には露点温度といわれることもありますが、用語として正しいのは露点です。どちらでも正解にすることになっています。
2つ目は、水蒸気量についての問題です。一般的には水分の発生量までは求めることはありませんから、答えのみちびき方説明します。
 質問の内容は18℃から何℃まで下がれば容器に0.1gの水が発生するかということです。容器の堆積は0.02m3となっています。
飽和水蒸気量は1m3で考えますから、これだけの堆積になるとどれくらいの水ができるかを考えます。体積は50倍ですから発生する水も50倍なので5gになります。
次にみるのは飽和水蒸気量が5g少なくなる温度です。ここで注意しないといけないのは、露点が15℃ですからここを起点に5g少ない温度を表から読み取ることになります。つまり12.8g/m3より5g少ない7.8g/m3になる温度を読み取るという手順になります。

大問4についてはほとんどが一般常識レベルの問題で、最後の問題が落とし穴があったりとかで正解にたどり着けない受検生がたくさんいるのではと予想されます。受検生間であまり点差が開かないような気がします。
差がつくとしたら乾湿計のところぐらいのようです。
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2024年02月09日

能登半島地震 その後

 正月に能登半島で地震があってから1月以上がたっています。その後地震発生のしくみについてわかってきたことなどについて考えてみることにします。途中経過は一度報告しています。
 今回の地震で今までにあまり観察されなかったことがあります。能登半島北岸で大規模な隆起が起こっていることです。漁港が完全に陸地化してしまって使えなくなったところもあります。よく考えてみると、地震は逆断層性なので、震央付近は必ず隆起します。メカニズム解から推定される断層の走向方向は北東−南西方向ですから海岸線の方向にほぼ一致します。震央は内陸部にありましたから、能登半島北海岸付近は隆起することになります。
 兵庫県南部地震・熊本地震などでも地表地震断層が見られましたが、そのずれはそれほど大きくはありませんでした。今回の場合は4m近く隆起したところもあるようですから断層のずれが非常に大きかったというのが特徴でしょう。断層の反対側も同じくらい沈降している可能性もあります。これが津波を引き起こしたようです。過去の地震でいうと濃尾地震で最大4mの垂直変位が確認されています。これに匹敵します。濃尾地震の場合は全体的に横ずれ運動でごく一部で垂直のずれがみられていますので、今回のように広い範囲で隆起があったというのとは少し違います。
 この隆起に伴って、古い平坦になった海岸が高いところに持ち上がり段状の地形ができたのも観察されています。室戸岬の近辺でこのようにしてできたとみられる段が何段か認められています。これらは過去の南海地震と関連ずけて考えていますが、実際に地震でできたというのがみられたのは今回が初めてでしょう(たぶん)。

 大地震発生前は、群発地震が起こっていました。これとの関連については、流体が岩盤を滑りやすくしたために地震が起こったという説明があります。普通に考えれば、滑りやすくなると歪みがたまらないうちに破壊が起こりますから、大きな地震は起こりにくくなります。その前に少し小さな地震を何度か発生させるからです。流体が引き起こしたのだというのは微妙なところがあります。そもそもこの流体がどこから来たのかというのもよくわかっていません。今後群発地震が収まるのか今まで通りなのかというのも、決め手に欠けているようにおもえます。
 2つの断層の継ぎ目で地震が発生して、それがきっかけで2つの断層が動いたという説明もありました。継ぎ目はずれが起こり難いところなのでここで破壊が始まるというのには納得しがたいところがあります。基本的には1本の大きな断層で、地表付近では2つあるように見えていただけのような気がします。

 流体とか地殻変動のようす岩盤への力のかかり具合とかすっきりした説明をみていません。能登半島で何が起こっているのかいまだに謎のままのようです。単純な、太平洋プレート・ユーラシアプレート等のプレートの動きで説明できるようには思えません。

posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2024年01月18日

共通テスト地学 感想(続き)

 地学問題の残った部分の感想・考え方をかきます。前回一気に書いてもよかったのですが、備忘録がてら少し詳し目に書きます。地学分野は広いので、どうしても得意分野と苦手な分野がでてきます。というか全然扱ったことのない分野があります。基礎的な考え方から全く異なるので専門外といってもいい分野です。海洋はどちらかというとよく知らない方に入ります。

第4問の問5と問6は海流についての問題になります。問5では黒潮のしくみについて聞いています。海流が形成されるのは一般的には、大規模な大気循環(貿易風・偏西風・極東風)によって押され海水が転向力の影響で北半球では右に向きを変えながら流れるからだとされています。端的に言えば、「大気循環によるエクマン輸送によってできる」ということです。貿易風・極東風によって西向きの流れになり、偏西風によって東向きの流れになります。流れた先で大陸にぶつかると南北方向に移動し海洋を一周する流れ(環流)になります。貿易風と偏西風でできる環流が亜熱帯環流です。実際には、黒潮を含めこれが北太平洋南側をぐるっと回るいては北太平洋高気圧による風によるものだと思っています。
 ところで「エ」については流れが速くなる原因を聞いています。気になるのは何に対して強いのかが文面からははっきりしないことです。何もない場合か(これだとエクマン輸送が答えになる)、他の環流、例えば大西洋に比べて強いのか(海の大きさ、中緯度高気圧の大きさが関係してきそう)といったことです。
 何を答えさせたいのかを考えてみると、同じ太平洋の環流でも黒潮と呼ばれる日本付近のものが強くなっている原因を聞いているのでなないかとは想像できます。それなら西岸強化が答えになります。西岸強化を答えにしたいのなら、「環流の中で」とか一言付け加えていないと問題としては成立していないでしょう。この点で不適切だと感じます。ちなみに西岸強化の原因は緯度によって転向力の大きさが異なることによります。
 海面の高さについては、上空の風が地衡風になるのと同じです。圧力傾度力と書かれていますが高さの違いによる斜度と同じです。このあたりは大気の流れを応用できます。

問6です。地衡風と同じと考えると、北半球では流れの右側が高くなりますから、高い側はグラフのどちらになるかを考えればいいだけです。西側では南向き、東側では北向きの流れになっています。
ついでにいうと、大気の場合と同じで高さの低い側の温度が低くなります。これによって冷たい海水、暖かい海水が長期間閉じ込められる現象が起こります。

第5問Aは惑星の動きについての問題です。
問1は順行か逆行か、どちらが木星でどちらが火星かをきいています。恒星(天球)を固定していますから、東に動いているか西に動いているかで順行か逆行かがわかります。火星と木星の違いについては近い惑星ほど動きが大きくなることから判読できます。
問2 軌道の形が楕円であるとわかったのは、視運動のようすを長年にわたって観測した結果から求められました。2ヶ月くらいのデータでは求められません。自転の向きは望遠鏡による観測によって求められました。Sさんの観測データには留の記録が見られない。 という理由で、明らかに題意に反しています。
 残る一つについてもSさんの観測結果だけからわかるものではありません。出題ミスといっていいでしょう。はっきり言えるのは、地球を通る惑星の運動面は木星・火星はほぼ同じ面上にあるということのみです。地球の公転面がSさんの観測事項だけからは求められませんから公転面に一致するというのには無理があります。最低限太陽の運動についての観測が必要です。そのような観測をしたという記述がありません。
 かなり譲って、既知の黄道に沿っていることがわかったというのならそれを文章なり図で示すべきです。ステラナビゲータ7を使って西脇市(日本のへそ)で2022年同期間の作図をさせてみると以下のようになります。線が黄道です。黒い丸は5月7日17日の太陽の位置になります。
火星・木星の運動

 問題文の図から、黄道の位置を推定するのはほとんど不可能です。おひつじ座からみずがめ座にかけての明るい星がない領域ですし、星座がわかった所で黄道がそのどこを通っているかまで知っている受験生は皆無でしょう。ついでにいうと、本文中に観測場所の経度緯度の情報もありません。高校生ということから国内かなというくらいです。国内でも見る場所によって星の位置が変わるのと同じように黄道の位置はだいぶ変わってきます。黄道を特定するのは困難です。
 ちなみに、おひつじ座ハマル(高度40°の字の左下)近辺の星の位置が図と一致する場所を求めてみると北緯32度東経131度あたりになり、宮崎市などが該当します。

問3 木星と火星で大気組成が全く違うということから2つの文は消去できます 

BはHR図についても問題です。
問4は 恒星の一生がその質量によって違うために、HR図から質量を読み取る必要があります。このあたりがわかっているかポイントです。
問5は 与えられた数値から絶対等級が求められるかどうか、橙色からスペクトル型が何か判断できるかがポイントです。HR図でK型(橙色)の位置はK0線とM0線(含まない)との間になります。
 問題のように点で示すのではなく、このあたりという書き方をしないと題意を満たしていないことになります。調べた星はA〜Dのどの星かという聞き方なら問題はなかったでしょう。この問題も不適切かなと思います。

全体的に思うのは 答えはどれかという場合、例えばAが答えとわかってもさらに1を選んでマークせよというのは2度手間かなという気がします。図の中に直接1とか書き込んではいけないのでしょうか。
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記

2024年01月17日

共通テスト地学感想

 昨日書いた地学基礎に続き地学のテストについての感想と解き方についての説明です。最初の方にグラフや図の読み取りの問題がまとめられていました。基本的にはこれは地学なのかなといつも疑問に思っています。グラフの読み方がわかっていると、地学的な知識がなくても解答できます。説明では、使った方が便利なので使いますが、何のために使うのかといったあたりのことが欲しいとは思います。といって何が出題できるのかはわかりません(ないかも)。いきなりこれだけ出題されると食指がとまってしまいます。
 難易度についてはだとうかなといったところです。問題もオーソドックスかなというところです。変な引っかけが使われているのがあります。余分な言葉を入れたことによって文章が誤りになるというようなものは本質から外れているような気がします。

   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 第4問AB問4問題番号20番までの解き方・どんな知識を要求しているのかについて書きます。残りの問題は明日(?)書くことにします。

第1問 グラフや図から読み取る問題
問1 海嶺からの距離と年代から移動速度を計算する 斜めに動いていないのがポイント
問2 グラフの2点を結び3500Km/sの距離を読むのが早い
問3 Aの温度は4.5GPaの水飽和の融点より高い
問4 冬期は海面近くのみ温度が下がる
問5 走向方向にXと同じ標高の地点がある

第2問 固体地球に関する問題
問1 氷河の厚さに応じてたくさん隆起する
問2 オーロラの発生場所は磁極の向きと関係ない
問3 1 火山分布域の東端付近での太平洋プレートの深さ
   2 等深線間隔が狭いと急
   3 両方の深さが書かれている
   4 いろいろな説明ができる
問4 余震域から断層の走向方向がわかる
   変位の方向は、初動の方向の断層走向方向成分の方向
   震央から断層走向方向、その垂直方向に区切った隣同士では押し引きが入れ替わる

第3問
A 岩石鉱物についての問題
問1 基準に従ってわけてみるとよい
問2 流紋岩質マグマの特性から
問3 AB点の温度深さを読み取り図3の相当する領域の鉱物から判読
B 化石についての問題
問4 環境を復元する化石の一般的名称、第四紀の示準化石から
問5 全ての生息水深の重なっている範囲
C地質図の問題
問6 北西側と南西側では地層の傾斜方向が向き合っている
   褶曲は軸と直角方向に圧縮されてできる
   堆積物の供給方向は、葉理などの堆積構造から知る
   一番新しい(上位)の地層は向斜軸付近にみられる

第4問
A 気圧と気温についての問題
問1 気圧の高低は水銀柱の高さから
問2 高温になるのは熱を何らかの方法でもらっているから
   温室効果は熱を逃がさないことによって起こる 引っかけに注意
B 雲の形成についてに問題
問3 対流圏にないものは何 土壌粒子には黄砂も含まれる
問4 冷たい雨ができるしくみについて
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2024年01月16日

共通テスト地学基礎感想

 昨日に引き続いて地学基礎問題の解説をします。どちらかといえば解き方のヒントみたいなものです。問題自体は比較的単純で基礎さえしっかり押さえていれば難なく解くことはできたと思われます。
問題順に書いていきます。


A地球の構造と地震
問1 本文は地殻・マントルの違いか、プレート(リソスフェア)アセノスフェアの違いかになるが
 「何枚にも分かれた岩盤」から後者に確定できる。これに伴って区分法も確定する。
問2 S波の所要時間−15秒で計算する。
 もちろん、距離と速度から所要時間が計算できるのが前提となっている。
 緊急地震速報の最初のポロロンの時間を無視するのか..。
B火成岩と鉱物
問3 鉱物とは何か、火成岩の組織について、
 化学組成(酸性・塩基性)と岩石・鉱物組成の関係がわかっているかどうかの問題。基礎的。
問4 図は一般的な火成岩体の模式図。
C生物進化と地球環境 − ときたら酸素がどのようにしてたまっていったのかがとわれそう
問5 ラン細菌、藍藻というのは聞かなくなりました。
 古生代末には、原始的な裸子植物も出現していましたが、あまり出題されないなぁ
問6 原生代は、真核生物が出現してから(殻のある)多細胞生物が爆発的に発展するまでの時代
 消去法でも求められるが、酸素形成=二酸化炭素現象=温室効果減少とつないでいけば答えが出てくる。

第2問
A台風
問1 台風の進路をみていればわかる。
問2 (1)湿舌といいます (2)危険半円はどちら (3)等圧線間隔と風速の関係は
   (4)満潮時はさらに要注意ですね
B海洋
問3 汗をかくと体温が上がるか下がるか、夜に海面から可視光線がでているとどうなるかがヒントかな

第3問
A太陽系の天体と恒星
問1 原始太陽系星雲の形とその中で起こったことが理解できているかどうか
問2 赤色巨星が巨大化する理由は?白色矮星ができる直前の恒星では水素はどのように分布するか
B宇宙の構造
問3 小惑星なら黄道中心に、恒星・星間雲なら天の川の近く、銀河は天の川近くでは見られない

第4問自然災害
問1 活火山の定義、火山が爆発的になる理由、爆発的噴火の例
問2 火山は同じような噴火を繰り返しに噴出物の化学組成もあまり変化しない
   泥層に挟まれているのでよそから流されてきたとは考えにくい  ので
問3 北太平洋での黒潮の流れの向き
   速度は日数と距離から計算する


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2024年01月15日

共通テストがありました

 共通テストがこの土日にありました。いつものように、地学基礎と地学の問題を解いて解説のようなものを書くことにします。問題文が発表されるのが、昨日夜なの遅れてからの検討になります。
 毎年、地理の問題も解いていますが、なにか解説するようなこともないのでスルーしていました。ところが、今年は大きくつまずいていますのでそのいきさつから話します。いくつかあります。主に地形や気候に関する問題です。

 地理Bの第1問の問2です。永久凍土と氷河・氷床の陸地に占める割合を緯度別に書いたグラフです。明らかにグラフに違いが見られます。いきなり、この違いはどうして現れたのかということを考えてしまいました。まとまりがつかず、結構時間の浪費をしてしまいました。すぐに成因を考えようとしてしまうのは、あまり地理的ではないようです。基本的には氷河の大部分は南極大陸にあって、他に多いところとしてはグリーンランド(他に北極圏の島々)になります。ヒマラヤ・アルプス等の山岳氷河はこれに比べたらわずかですからほとんど無視できるでしょう。逆に永久凍土が多いのはシベリアなどの周氷河地域です。永久凍土の方が低緯度地域に分布することになります。
 ということで、答えは導き出されましたが、やっぱり原因が気になります。今のところ思いついているのは、年平均気温が氷点下になると永久凍土ができる条件ができます。地中の温度が氷点下になるからです。でもこれだけでは永久凍土はできません。地中への水の供給が必要です。これは、夏場の気温が高いときに雪が溶けるなどしてもたらされるでしょう。夏でも気温が0℃以上にならなければ、雪は溶けずにそのまま残って氷河に変わります。永久凍土はできませんし、できたとしても、氷河の移動によって削剥されてしまいます。
残らないでしょう。という考えはどうでしょう。

 問3は海岸地形で、砂州によるもの、谷・大河川・氷河谷の沈水によってできたを見分ける問題です。何となくはわかりますが、どうしてそうなのかと聞かれればはっきりと答えることはできません。

 第5問は地理Aとの共通問題です。1月の平均気温・日照時間の値から浜田と三次、広島どこのものかを考える問題です。山陰、山陽、山間盆地の違いがわかっていれば普通に解けるはずです。

 さて、地理Aです。まず、第1問の問1です。磐梯山の噴火のようすを取り扱っています。問題としては、噴火後のスケッチを書いた場所、桧原湖の成因は何かいうことです。
入手している図では、PDF化によってできたモアレ模様のようなものでわかりにくくなっています。ウィキペディアに同じスケッチがあります。そのまま持ってきています。図をクリックすると高解像度版を表示します。

 スケッチの場所は北側の桧原湖西岸か、北東側の秋元湖北岸に絞られています。たまたま、この2地点の近くで写した磐梯山の写真があります。2016年の旅行記に載せているものです。
桧原湖からの磐梯山です。普通に磐梯山としてよく見かける風景です。
磐梯山

こちらが秋元湖からの磐梯山です。
磐梯山

どちらの磐梯山がスケッチ近いでしょうか。左側の櫛が岳と真ん中磐梯山最高峰の間隔は秋元湖からの方が近いように見えます。左側の斜面の傾斜も秋元湖からのものに軍配が上がりそうです。
 ウェブから入手した問題文の図でははっきりしなかったのですが、ウィキの図からは崩壊斜面がはっきりわかります。斜面がはっきり見えるのは櫛が岳と最高峰との間です。秋元湖からだと最高峰から右側丸山にかけての斜面が見えています。これだとはっきり秋元湖からではないことがわかります。
 図が見難くなっているのでだいぶ混乱しました。ちなみに、地形図も傾斜によって濃淡がつけられています。これも地図をわかりにくくしている一因になっています。作成方法と同じように、地理院地図で作ってみましたが、傾斜による濃淡はかなり細かくなりますし、磐梯山の崩壊斜面も平面図では幅が非常に狭いのではっきりと出ていません。使わない方がいいようです。
 もう一つ、桧原湖がないと書かれています。それなら桧原湖の成因が噴火と関係ないことになってしまいます。ここの文章はもう少し検討した方がよいのではと思います。噴火後3週間なのでこれから水がたまっていくところだったのかも知れません。
 ところで、噴火は7月14日です。東北なら梅雨の末期ににあたっています。かなりの雨が流れ込む時期になります。本当に湖がなかったのでしょうか。桧原湖の遊覧船発着場に、桧原湖の成因が書かれた案内板があります。そこには1週間後に水がたまり始めているようす(と解説されている)の写真が載せられています。この写真の撮影場所はスケッチの2kmほど南なのでようすはそれほど変わらなかったと思われます。2週間分水量は増えているかな。桧原湖の最深部はスケッチの左側になりますから、こちらに湖ができていたかも知れません。さらに、ウィキのスケッチを見るとなんとなく流山が水に浸かっているようにも見えます。桧原湖がなかったというのはいいすぎのような気がします。

 問5には、典型的気圧配置時の雲画像が載せられています。これくらいは区別できて常識でしょう。
 問6も悩みました。浸水しないと判断したことが誤りといいたいのかなというところです。

地理に関しては以上です。


posted by ヨッシン at 00:00| 雑記