昨日に引き続いて今日は共通テスト地学の問題を考えてみることにします。
まず感想です。そのまま丸暗記では解けないのではという問題がいくつかあります。地学基礎に比べて難易度はかなり大きくなっています。たとえば第4問Aでは、書かれている文章をヒントにグラフをよく見て始めて答えが導き出されそうです。また、第5問Aでは、惑星現象や年周視差光行差を教科書のように地球を中心とする公式などがどうして導き出されたのかを理解した上で、火星に拡張して考えないと解けない問題になっています。応用力が試されそうです。
以下に、各問題ごとに、内容や答える上でのヒントなどを書いていきます。
第1問 立体的な把握ができるかを問う問題
問1 震央記号の種類から深さはAで300km、Bで0〜50km
問2 鉱物がカンラン石か角閃石かの2択なので……。
(ABが同じと判断する方が難しいような..)
問3 地質図の読み取りができるか ポイントは
1.等高線はどの線が高くにあってどの線が低くにあるのか
2.同じ高さの等高線と地層境界線との交点から走向を求め
3.より低い高さの走向線がどちら側にあるか(傾斜方向)
4.谷底の等高線と、高砂との走向線との間隔を比較(傾斜角)
問4 温帯低気圧での温度の立体分布
温度が高いのは、前線に挟まれたところ+地表付近
問5 星までの距離
距離が近いほど見かけの等級が小さくなる
→100pcの線から左上に離れているほど距離が遠い
アルニタクとリゲルは目分量で見る限りは微妙
(どちらもオリオンアソシエーションの一員)
第2問
A 固体地球に関する問題
問1 大陸地殻と海洋地殻の広さについて
(−1000mより深い所と高い所とを別々に合計する)
問2 地震波波形から震源距離を考える
=S波の立ち上がりが遅いほど距離が遠い
B プレートテクトニクスとマグマ
問3 開くところでは正断層型、トランスフォーム断層では横ずれ型
トランスフォーム断層では海嶺のずれと逆になる
問4 火山前線に沿う火山の分布
海溝−火山前線間には火山なし、前線の近くに火山が多い
問5 マグマの成因について
圧力低下(中央海嶺)、温度上昇(ホットスポット)、水分供給(海溝)
第3問
A マグマの化学組成について
問1 安山岩の構成鉱物でないものを探す
問2 結晶分化作用について
B 地質と古生物の関係
問3 ビカリアと同時代の地層をかんがえる
問4 褶曲や断層の種類について
C 人類の進化について
問5 出現時期を年代とカレンダーのバーで比較
(ネアンデルタール人をどうするかという問題がある)
問6 第四紀に起こった出来事
第4問
A 地球大気に関する問題
問1 大気圏の構造
問2 フロンガス濃度が同じならオゾンが破壊されやすいのはどちらか
(本文中にヒントが書かれている)
B 海洋表層の大規模循環
問3 海面の高さに差がある→傾いている で何というか
問4 アイソスタシーが成立→氷床のある大陸断面と同じ
問5 西岸強化のしくみ
第5問
A 火星での天体観測
問1 公転周期と会合周期の関係
公転周期の逆数の差が会合周期の逆数になる
問2 最大離角の時の公転半径の関係
∠太陽・地球・火星=∠R
問3 年周視差・光行差を火星に拡張して考える
B 太陽系と恒星
問4 太陽活動が地球に及ぼす影響
問5 明らかな誤りが一つ
北半球でも南天の星は(地平線下にある)天の南極を中心に回転
→南半球でも北天の星は……。
問6 星団を構成する星の色から類推
主系列星なら左上から右下にならぶ等 判定基準はいくつかある
補足です。第3問問5では、ホモ・サピエンスの出現時期が問題となっています。ここで、ネアンデルタール人ですが、ホモ・ネアンデルターレンシスという種扱いの記述と、ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスという亜種扱いの記述の両方が見られます。種になるのか亜種になるのかでホモ・サピエンスの出現時期が変わってくることになります。新人という言い方ならネアンデルタール人は含まれないことになります。書き方が非常に紛らわしくなっているようです。
2023年01月17日
共通テスト地学問題について
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記