観測会には参加者が20人ほどのきました。場所のわりには大盛況でした。鳥の写真撮影が趣味という人が、いっしょに写そうということでカメラ持参で参加していました。
毎回そうなのですが、望遠鏡からスマホで写真を撮りたいという人がでてきます。取り付けできるような器具が売られているようですが、使っている望遠鏡に合うのかどうかわかりません。今回の場合は、カメラのファインダーから撮影していましたが、視野にあるマークやゴミなどもいっしょに写ってしまいます。このあたりも何とかしたいとは思っています。
終わってからいくつか解決策のヒントになりそうなことがわかりました。1つは、WIFI機能のついたSDカードを使えば撮影画像をダウンローできそうなことです。このカードは2枚持っています。ところが、マニュアルにはデータをダウロードするにはスマホにアプリをインストールしないと使えないと書かれていました。いちいちアプリを入れるのも面倒です。なにか他の方法はないものかと調べ直してみたところ、別にアプリがなくても画像データをダウンロードできることがわかりました。それなら、「カメラが記録している写真をダウンロードしてね」で対応できそうです。自分で写すのがいいというならそれでもいいでしょう。スマホを動かしたり傾けたりしながらいろいろ試して写すのが楽しいのかも知れません。誰がきれいに撮れるかで競っていたということもあります。
ダウンロード方法をメモしておきます。カードのWIFIとしての動作モードは2つあって、接続の親機となる場合と子機となる場合です。子機にするには特殊な設定が必要ですし、どこかのWIFIのアクセスポイントへカードをつなぐ必要があります。普通は自宅となります。ここでの問題は、参加者のスマホはSDカードがつながっているアクセスポイントにつながないとデータを見ることができません。見てもらおうとなるとアクセスポイントのパスワードを公開しないとできません。パスワードを教えるとなるとWIFIにつながっているパソコンのデータも見られるようになるのでこの方法は却下するしかありません。
SDカードを親機として使う方法です。というより特殊な設定をしない限りは親機として機能します。この状態でSDカードが作るアクセスポイントに接続します。別のWIFIとつながっていればそれを切断してからでないとつながらないようです。接続できればスマホのブラウザを立ち上げ、アドレスバーにローカルネットワークでのSDカードのIPアドレス(基本的な値です)を入力する事で、ホームページ風の画面がでてきます。ここからはデータを閲覧したりダウンロードしたりするモードを選択できます。
試してみましたが、画像一覧が表示されるまで意外と時間がかかります。何人も同時にとなると、さらアクセスに時間がかかるでしょう。一人ずつ順番にということになりそうです。更に懸念しているのは、WIFIの分だけ電池の消耗が激しくなり、すぐにバッテリー切れにならないかということです。電源延長コードを持ってきてACアダプターからカメラの電源を供給することもあるでしょう。
カメラにもWIFI機能がついています。これ経由で画像をみたりカメラを操作することができるようですが、アプリのインストールが必要なようです。これも見てもらうためだけにやってもらうわけには生きませんから、こちらを使う方法も却下します。
カメラのマニュアルをチェックしているとカメラからHDMIケーブルを通してモニタでライブビューが見られると書かれているのを見つけました。この方法も検討の余地がありそうです。参加者の中には、腰がかがめない、膝が曲げられないという理由で望遠鏡をのぞけなかった人もいます。せっかく来てもらったのに残念です。モニタででも見られれば多少は来た意義ができそうです。これをするとなると、電源延長ケールは必要になります。HDMI変換ケーブルも購入する必要があります。カメラのACアダプターも必要になるかな。過去には通りがかりの人が記録した画像を表示しているパソコン画面を写したということもありました。こういう人がでてきても別に気にはしません。
月食撮影で一番の困った君は、インターバル撮影時には、カメラの露出等を操作できないことです。月食の初めは適正露出でも進んで行くに従って、暗くなって、皆既食になると全く何も写っていないということになります。望遠鏡での拡大撮影くらいになってくると自動露出に設定しておけば何とか写ってくれます。今回の場合は、極軸が設定できなかったことで、月の位置が動き回ったので、うまくいきませんでした。固定撮影等で、月の動きとともに写すとなると、どうしても絞り値やシャッター速度を変える必要がでてきます。前回の月食からの課題でした。
WIFIやUSB経由でカメラが操作できるようです。これを利用する場合も、アプリのインストールが必要なようです。アプリでできる事を確認してみると、一定時間間隔で撮影するというモードはついていません。いちいち撮影アイコンをタップしないといけないというのは、ケーブルスイッチを使うより不便です。この方法は却下の対象となります。
撮影して画像を確認してみると、明るさコントラストを調整することで、少しは見ることのできる画像にできました。それなら、RAWで保存しておけば信号解像度が大きくなるので、露出を変えて写したのと同じ効果が得られます。終わってからの処理が煩雑になりますが、何が写っているのかわからない写真がたくさんあるよりはいいでしょう。
もう一つ気がついたことがあります。古いカメラのレンズなら、絞り環がついています。月食の始まりでは、一番絞った状態にしておいて、時間の経過とともに次第に開いていけば、暗くなるのに対応できるのではという気がしてきました。次回挑戦することにします。この方法の利点は、絞り環のついているレンズは、ピントリングにも距離目盛がついているので、今回のような大幅なピンぼけは避けられそうな気がします。
インターバル撮影でのもう一つの問題点は、撮影した画像が見られません。これについては、WIFI経由で見られそうということがわかりました。でもいちいちWIFIつきSDカードを使うのもどうかなという気がします。それに、流星やISS撮影では、2台以上同時にインターバル撮影しています。電波が干渉しないかということと、どうやって2つを識別するのかがよくわかっていません。
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今回の観測での一番の問題は当日の準備が間に合わなかったことにあります。2台のカメラがほとんど有効に活用できませんでした。余裕を持って準備していれば、セッティングがうまくいかなかったり、記録開始忘れといったことは防げたでしょう。三脚に赤道儀やカメラを固定でいなかったこと関しては、三脚自体が相当古いものなので、締め付け部分にだいぶがたがきていることが原因でしょう。ふだんはきちんと締まっているように見えます。新しいものに買い換えた方がいいのでしょう。
基本的な事での準備忘れは、カメラの電池をフル充電状態にしていなかったことくらいかな。もっとも、フル充電でも、長時間の使用では途中で容電池切れになってしまうこともあります。カメラの時刻合わせをしていませんでしたので、記録されている画像の時刻がずれていました。
望遠鏡のバッテリーは終わってから見たところ、使用禁止レベルまで下がっていました。もともと、10日ほど放置しただけで電圧レベルが下がっているので、どちらかというと寿命のようです。いろいろな付属機能のついたバッテリーなので、このあたりをバッテリー破棄と同時に破棄しないといけないとなるとたいへんな無駄なように思えます。鉛電池の部分だけの交換というわけにはいかないのでしょうか。このあたりは販売店との相談になります。余分な機能はいらないことにして、その他の充電池にしてしまう方法も考えられます。自宅周辺では延長コードとACアダプターの使用で何とかなりますが、遠征先ではそうもいきません。基本的には鉛蓄電池の破棄は簡単ではないのでできれば別の形式のバッテリーに何とか解決策を見つけたいものです。
望遠レンズに望遠鏡用接眼レンズをつけた手製望遠鏡はのぞくのを忘れていました。天王星が見えるかもということで設置していました。この間はカメラのファインダーでは見えませんでしたし、手元にある全ての双眼鏡でも(空の暗いところなら見えるんだけどもなぁ)確認できませんでした。できる事は全てやっておくべきでした。取り付け位置がちょっと見づらい位置にあるのは問題です。