2022年06月28日

UFOにみえないんだけど2

今回は動画について解析してみる予定でしたが、その前に少し補足を加えておきます。
 画像1については鳥と書きました。
研究所の発表を確認してみるとこれを報じている報道会社のウェブページには、「本人はひょっとすると、鳥かなと思ったが、これは連続写真で連続してパチパチと撮ったなかで、1枚だけ写っていた。鳥ならば、他のコマにも映っていてよい」と書かれています。
 どこまでが、本人の見解なのがはっきりしませんが、少なくとも研究所の見解としては「1枚だけ写っていたので鳥とする考えは否定できる」と見ることができます。
 先日は、1枚だけ写ることもあると書きました。これでは完全に水掛け論になりそうなので、もう少し詳しく解析しておくことにします。
 まず連続してバチバチと撮った方法についてです。文章から解釈できるのは、何回も連続してシャッターを押したということでしょう。カメラの連写機能を利用して写すということもあります。プロならこの方法を使っていることが多いでしょう。連写の場合、どれくらいの頻度で写したのかが問題になります。高速連写なら1秒間に10枚ということもありますが、これは何かの目的がないと使わないでしょう。たとえば撮り鉄が、接近する列車を写すような場合です。普通の連写を使っただろういうことで1秒間に2枚ということにしておきます。シャッターを連続で押した場合もこれくらいの頻度が限界でしょう。
 画像の方に戻ってみます。問題の物体は35ピクセルのサイズに写っています。右側の余白が1280ピクセルあります。物体のサイズと比べると37倍の大きさになります。写っているのが鳥だとします。いろいろな鳥がいますが、このあたり(立山室堂)で見られそうなものとしてはイワヒバリがいます。
 立山一の越で写したイワヒバリです。ガスがかかっていてぼやけていますが、テーブルの上で残飯をくわえています。
イワヒバリ
 これだと仮定します。体長は18cmです。飛んでいるときはほとんどこの大きさに写りますから、鳥までの距離のところで右側に開いた空間の長さは6.6mとなります。
 この距離を1/2秒の間に通過することができれば、次の写真(前かな)に写真でははみ出したところにいることになります。秒速で13m、時速に換算すると45kmです。これだけあれば次は写らないことになります。鳥は普通これ以上の速度で飛んでいますから、1枚にしか写っていなくても不思議なことではありません。
 どうしてこういう結果が出るのかというと、鳥としては異常に近いところをとんでいたからです。18cmといえば人の頭くらいの大きさです。歩いている人と比べればわかると思います。左端にいる一番近くの人と変わらない距離になります。普通は遠くにいるものを見ることが多く、動きがゆっくりになります。
 もちろん連写速度がもっと速い、たとえば3回/秒とすると飛翔速度は70km/hになってきますから鳥の速度としては苦しくなってきます。もっと大きな鳥でも1枚では無理になってくるのは同じです。たとえばカラスのようなものです(室堂にいるのかな)。

 続いて動画1を確認することにします。「白い物体がどんどん上がっていっている。明らかに未確認飛行物体としてのUFOと言えるのではないか」というのが判定基準です。上にあがっていたら、UFOなのかとつっこみたくなります。ところで、判定基準となった上にあがっているのはどういう状態なのかしっくりきません。
 映像が上にあがっているように見えるのは、撮影位置が明らかに上昇しているから、
磐梯山に比べて背景の雲などが上にあがっているように見えているだけなのではというような気がしてきます。光点だけではなく雲もいっしょに上がっているように見えます。
 まず動画をフルスクリーンにして見ました。ここで見えてきたのはわずかに尾を引いている光点です。これは、飛行機からだされた排ガスが急速に冷やされてできた雲に見えます。周囲の気象条件によってはできないこともあるし、いつまでも残って飛行機雲を作ることもあります。太陽高度が低いと機体とこの雲に太陽光線が反射して光ってい見えることはよくあります。光点の形からは、わずかに雲を作った飛行機と全くいっしょです。従ってこの光点は飛行機と断定できます。UFOと見間違える典型例の一つです。
 一つ気になるのは、背景の雲が暗いということです。飛行機雲を作るような飛行機が飛んでいる高度は1万m付近になります。このことから、後方にべたっと見える雲は巻層雲ということになります。この雲は、薄く白く光っていることが多い雲です。
 暗くなるような雲は、低高度の厚い雲にみられます。これは雲の中を太陽光が通りぬける間に全て反射されて下面には太陽光が届かないからです。巻層雲では、薄いために太陽光は透過でき、下面の雲粒も照らすことができます。暗い雲は巻層雲らしくありません。
 ところが、巻層雲でも黒く見える例外があります。もちろん、太陽光があたっている状態での話です。下にある飛行機に光が当たっていますから、日が沈んでしまっているというのはあり得ません。それは、太陽光が雲の層を真横から照らしているときです。雲の中の通過距離が長くなりますから、散乱量が多くなります。次第に暗くなっていきます。画像でも、下の方にみえる雲が白っぽくなっていることから、この状態になっていると考えられます。このようなときは、飛行機がものすごく明るく見ることがあります。画像のような状態で飛行機雲が見られるのはじゅうぶん起こりうることです。
 ところで、実際には光点はどのように移動しているのでしょうか。動画のはじめの方と終わりの方で、スクリーンショットをとり、雲の形にあわせて重ね合わせてみました。そこからわかるのは、やはり下から上に移動していることです。研究所の見解と同じです。ただ研究所がこのことをいっていたのかは疑問なところはあります。飛行機はこの高度では上下運動はしませんから、実際には下から上に向かっているのではなく、こちらに向かってきていることになります。
 結論です。この動画はこちらに向かってきている飛行機を写したもので、UFOではありません。

 ここまででたくさんになってきました。残った動画についてはまた明日ということにさせていただきます。
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記