2022年03月12日

2014年 礼文利尻島 27    記録を整理していて(その3)

<フェリーの運航形態>
 旅行をしていたときは、稚内と利尻・礼文島を結ぶフェリーは一隻の船が単にいったり来たりをしているだけだと思っていました。しっかりと見ていたわけではないのではっきりとしませんが、すれ違うのは見ていないようです。
 記録を書くにあたって写真を見ていると、稚内から礼文島香深に向かったフェリーと、礼文島から利尻島に渡ったフェリーが違っているのに気がつきました。具体的にいうと、最初のがサイプリア宗谷で、2番目のがフィルイーズ宗谷です。これではっきりするのはフェリーが少なくとも2隻はあるということです。
 よく考えてみると1隻では運航は不可能なことがわかります。島に渡ったときは朝出発で、帰りも朝に出発しています。8時過ぎにはどちらの日も海上にいて全く逆の方向に向かって進んでいます。曜日によって運航形態を変えていない限りは、1隻ではこのようなことは不可能だとわかります。
 香深についた日の夕刻に、港を出る船を見ています。この時、同時に沖合を通るフェリーを見ています。利尻礼文航路のものではなくどこか別のフェリーだと思っていました。でも、この付近を通りそうなフェリーは他にはなさそうです。ふつうなら利尻礼文島航路なのでしょう。
 2隻でも1隻でもどちらでもいいのですが、どのような運航形態をとっていたのかが気になってきました。このようなダイヤの組み方は、一種のパズルのようです。パズルファンとしては気になるところです。

 2022年現在の運航状態と比べてみました。全く同じ同じというものはなさそうですが、参考にはなりそうです。とりあえず、出航時刻と到着時刻からの船毎の運行を整理してみました。主要時間は、稚内−鴛泊が1時間40分、稚内−香深が1時間55分、鴛泊−香深が45分です。当時と同じ船が就航していますから、所要時間はそれほど変わらないでしょう。
 ダイヤは3パターンあります。冬用と夏用、5月に使われるものです。
 まず冬用です。稚内を朝に香深、鴛泊往きを少し時間をずらして出航しそのまま稚内に戻ってきます。昼過ぎに同じように稚内を出航しますが、稚内−鴛泊−香深−稚内とその逆コースを時間をずらして運航して、1日分が終了します。これだと1日めは直接朝に鴛泊から香深に向かうことはできませんから、この形態ではないでしょう。
 5月パターンはこれの変形です。昼過ぎのものも周回ではなく往復になります。他にもう1便、稚内−鴛泊−香深と往復する便が間の時間に入っています。この便は朝にでた船が稚内に戻ってくるまでの間に出航していますから、3隻目が必要になります。2隻で港は20分停泊として計算すると、1隻の運航時間は13時間30分ですから、始発6時30分としても、最終到着は20時になります。もうちょっと総運航時間を短くしたいところです。
 夏パターンは、香深−沓形(利尻島)間40分の往復が入ります。5月ダイヤより船の動いている時間は長くなっています。船ごとのダイヤで書いてみます。着時刻・港名・発時刻の順で、時刻は「:」を省略しています。
A:鴛泊0825→1005稚内1030→1225香深1250→1330沓形1530→1610香深1630→
  1715鴛泊1740→1920稚内
B:稚内0630→0825香深0855→1050稚内1110→1250鴛泊1315→1400香深1420→
  1615稚内1640→1820鴛泊
C:稚内0715→0855鴛泊0920→1005香深1025→1110鴛泊1205→1345稚内1450→
  1645香深1710→1905稚内

 使ったり見たりしたフェリーの時刻を整理しておきます。日付は稚内出航日を1日目とします。時刻は写真のタイムスタンプで一番近いものからの類推です。写真以外に時刻を示すものは資料は残っていません。「+」は完了していたときの数値(大きめになっている)、「−」は完了前の数値である場合につけています。
1日目:稚内0735?→????鴛泊0945+→1025?香深 ……サイプリア
    香深1720+→  沖にも別のフェリー(鴛泊1700前か)
2日目:香深1050+→1140+鴛泊 ……フィルイーズ
3日目:0820鴛泊0850+→1025-稚内 ……サイプリア

 現在の運行表と実際に乗ったり見たりしたフェリーと比べてみまることにします。でもその前に、沓形航路があったかどうかを考える必要があるでしょう。2日目に沓形で昼食をとっています。この後、1時過ぎまで沓形のフェリーターミナルの近くにいてそれから出発しています。パターンAのように1時半に港に着いているのなら、店が閉まっていたり人気がなかったりということはなさそうです。もっと遅くに着くことも可能ですが、後で書く理由により、遅くにする事もできません。なかったと見た方がいいでしょう。現在では多客期限定の運行です。
 1日目・2日目に乗った時刻は、20分遅れくらいでパターンCに一致します。1日目午後に出航するフェリーもCとほぼ同じ時刻で出航しています。Cでは鴛泊・稚内の停泊時間が長くなっているところがあるので、ここを詰めれば夕刻の出発時刻に合わせられそうです。
 3日目に乗ったフェリーはパターンAに一致します。1日目夕方に沖合を通っているフェリーもだいぶ早めですが、たぶんこれでしょう。Aでは沓形(長時間停泊している)の往復がない分、香深を早くでて、鴛泊に早めに到着していることは可能です。沓形に行ったとしても、停泊時間を短くすることで香深に最大90分早く戻ってくる事はできます。これを満たすためには沓形に行ったとして、そこへの到着を遅らせるのは無理でしょう。
 1日目に沖合を通っていたフェリーがパターンAとかCに該当するか調べることはできないのでしょうか。ひとつ思い浮かんだことがあります。この航路で見た、サイプリアとフィルイーズは船体の模様が違っています。3日目に入港するときのサイプリアを再掲します。
利尻航路フェリー

 船首側にクロスするリボンのような模様が見られます。右(船尾側)上から左下にかけて赤紫色でそれにかぶさるように左上から右下にかけて紺色の帯があります。船尾側にもリボンのの中心部を拡大したものが後から前に被さるように2つ書かれています。後部排気筒の側面は赤紫色に塗られています。フィルイーズでは船尾側が写っていませんが、このうち赤紫色のところが空色になっていました。この船会社のフェリーはこのような模様にしているようなので、船尾側が赤紫色が空色に塗られていたと思われます。
 ここで、沖合を通るフェリーの写真を確認してみます。非常に小さいので、拡大できるだけ大きくしてみました。その分ぼけていますがご容赦を。
利尻航路フェリー

 形が違うように見えますが、水平線の向こう側を航行しているため、船の下半分は水平線に隠されています。船名とかフェリー会社の名前が書かれている付近より上側しか写っていないとみてください。利尻礼文航路のフェリーだとすると、右が船尾側になります。左に向かっていますから、鴛泊から稚内に向かっているものと考えられます。
 これがサイプリアとすると、この写真と比べ全体的に船尾側の色が濃くなりそうです。特に排気筒の色がもっと目立ってよさそうです。ここが空色に塗られているとすると、背景になじんで目立たなくなっているでしょう。ということはこの船が、フィルイーズである可能性は否定できません。
 この時に香深港をでたフェリーはどうだったのでしょうか。写真には船の後部しか写っていませんでした。側面が見えないので何なのかは判定できません。入港時のようすを見ていると思われますが、この時は船が何隻あるかといったことは考えていませんでしたので、詳しくは見ていません。
 ところで、ここまでパターンBがでてきていません。なかったと考えるとどうなるでしょう。残った2隻の内片方は稚内で始まって稚内で終了しています。もう一方は鴛泊で始まって稚内で終わっています。これだと夜の間に1隻を稚内から鴛泊へ回送しないといけなくなります。こういうことはしないでしょう。回避手段としては、夕方に香深にでたフェリーは鴛泊にいきそこで運航を終了という方法があります。実際のところ、このフェリーがどこに向かっていたのかはわかっていません。
 それよりも問題になるのは、鴛泊から稚内に向かうフェリーが3便から1便に減ってしまうということです。逆は2便になります。鴛泊香深間でも似たようなことが起こります。
 鴛泊を出る便が減って香深を出る便が増えるのでどうしても各経路往復での便数のバランスが悪くなります。わかっているダイヤを残したままの組み替えは難しそうです。

 現在の運航時刻に近いところからすると3隻必要です。当時も3隻あったのでしょうか。実際に乗った船を確認してみると2隻では無理なことがわかります。
 2隻だと1日おきに、船が入れ替わるか、全く同じ船になります。つまり、1日目と3日目はパターンが同じなら同じ船になります。3日目のサイプリアはパターンAではなくパターンCでの運行になります。これでは、帰りにサイプリアに乗ることはできません。
 3隻あって、3つのパターンを順番にローテーションしていないと、3日目の帰りにサイプリアに乗ることはできません。
 3隻目はどんな船だったのでしょうか。フェリー会社のサイトを見ると、ボレアース宗谷が平成15年(2003年)5月に就航したと書かれています。旅行時には使われていたでしょう。リボンの色は赤と紺です。夕方に香深港沖合を通過していたフェリーはこれでもなさそうです。逆にフィルイーズ宗谷は引退したようです。

 サイプリアとフィルイーズ、ボレアースの3隻で、現在の夏パターンから香深−沓形往復を除いたダイヤに近かったようです。でもそれでも疑問点があります。
 フェリーは3日目に、鴛泊港に入港しています。どこから来たのでしょうか。港によっては波が荒く、夜間は沖合に退避するところもあります。それだったのでしょうか。そこかからきたのだとすると乗客がいたことになりますが、そのあたりの記録は残っていないので、確かめようがありません。
 もう一つあります。1日目には香深に直接向かう船が少し前にでているのに、使わなかったのはどうしてでしょうか。離島便だと6時過ぎに乗るというのはよくありそうです。この便がなかったのでしょうか。とすればこれに使うはずの船はどこにいたのでしょう。礼文島での立ち寄り先が少ないということで、ゆっくり着くようににしたのでしょうか。

 いろいろなことを考え出したら切りが無いので、このあたりで終了とします。

−−−− 完 −−−−


posted by ヨッシン at 00:00| 旅行記