屋根の形に注目します。屋根を平にしておくと、降った雨は屋根の上にたまって雨漏りの原因となります。そこで屋根板をななめにします。そうすると雨水は流れ落ちて屋根にたまらなくなります。建物の中心線で左右に振り分けるのが一般的です。建物の中心一段高いところに棟木を渡してここから左右に屋根板をはります。棟木は建物のどちらかの壁と平行に渡ります。このような建物の造りを切妻造といいます。住宅家屋では普通に見られる様式です。
豊川稲荷禅堂を例に挙げておきます。屋根の高いところから左右に振り分けられているようすがわかります。入口の上に庇がついていますので少しわかりにくくなっているかも知れません。

<寄棟造>
このような建物の場合、棟木に直角方向にある壁の面を妻面(または妻)といいます。写真の建物で見えている側が妻面です。
妻面には雨がたくさんかかります。そこで雨の影響を少し減らそうと工夫がなされた屋根の造りがあります。一つは屋根の傾斜を妻側にもつけるというものです。屋根の形は台形2枚と三角形2枚があわさった形になります。このような建物の形を寄棟造りといいます。
鳳来寺本堂を例に挙げます。

<入母屋造>
もう一つは、豊川稲荷禅堂の庇を左右に大きくして屋根とつないでしまうというものです。反対側の妻面も同じようにします。下半分は寄棟造で上半分は切妻造と二つがあわさった形になります。
例として尊永寺諸尊堂北谷寺をあげます。今回まわった寺社の建物の大半はこの形でした。

<宝形造>
寄棟造で建物の四辺の長さが同じだと台形をした屋根はなくなり全て三角形になります。このような場合は宝形造といいます。方形造と書くこともあります。ほうぎょうづくりと読みます。お寺の建物の場合、屋根の一番高いところには宝珠とその土台(露盤)が乗ります。舎利などを納める建物に多いそうです。
写真は池田町の凉雲寺です。

お寺にある宝形造の建物で、2階以上の高さがあり、各階毎に屋根を設けているものを層塔と言います。お城もそうですが、この屋根が何段になっているか、たとえば3段になっていれば3層(構造)といういい方をします。3層の層塔は三重の塔です。他にも五重塔や十三重の塔といったものもあります。
横蔵寺の三重の塔を例に挙げます。

宝形造の変形のもう一つの例です。建物の平面形が六角形や八角形という建物もあります。八角形の例として豊川稲荷納符堂を例にあげます。

諏訪大社下社秋宮の神楽殿のように三方切妻という建て方もあります。基本的には切妻造の建物を組み合わせているだけです。切妻、寄棟、入母屋といった構造は日本建築でも必ず見ることができるようです。
−−− 妻入りと平入り −−−
次に、建物の入口の位置に注目する事にします。主となる入口がある場所は、妻面かそうでない面かのどちらかになります。妻面に入口のある場合は妻入り、そうでない場合は平入りと言います。
<妻入り>
大矢田神社拝殿です。五角形の面に入口があります。切妻造の場合、入口から雨が吹き込みやすいという欠点があります。

<平入り>
華厳寺揚輝堂です。間口は広く取れるのですが、出入りの時に、屋根から落ちてきた雨水がかかるという欠点があります。
