2021年02月04日

共通テスト第2日程 地学問題で思うこと

 聞き慣れない言葉がでてくるようになってきました。長い間教科書を見ていないので、最近の動向がつかめていないようです。地学は分野が多岐にわたるので、全てをチェックしきれません。解けない問題が多くなってくると、この講評欄もおしまいにしないといけないようです。
 どれのことかというと、第4問にある「極渦」です。成層圏の大気の状態については、ある程度わかり始めた頃の情報は持っています。それから何となく答えることはできます。研究の初期にだされた情報は変わっていることがよくあります。この情報は今でも正しいといわれているのか気になる所です。

 それよりも、第1問に使われている「スケール」という用語が気になります。問題文には「地学では長大な時間スケールや広大なスケールの現象を理解・把握する感覚を身につけることが大切である。」と書かれています。何となくいいたいことはわかるのですが、本当にこういういい方をするのでしょうか。「長大な時間にわたって起こる現象や広大な範囲で起こる現象を……」といういい方ではダメだったのでしょうか。意味をわかっているつもりで当然のように使っていますが、そもそもしっかり定義がなされた言葉なのでしょうか。何か釈然としません。
 スケールで思い出すのは、スケッチや写真には必ずスケールを入れるようにと注意されたことです。そこで示されているのはどれくらいのサイズの現象なのかということを示しなさいということです。何か代わりになるものでも可です。たとえば人が写っているとかというように。そのわりには本家の写真等にスケールをつけていませんが..。
 地学を理解する上で大事なのは、いくつもの階層構造の中で組み立てられていることです。原子の世界、鉱物の世界、岩石の世界、地層の世界、地質区の世界、……といったように。これを間違えるととんでもない答えになることがあります。たとえば岩石の名前を聞いているのに、黒雲母と答えるといったように。黒雲母の標本が花こう岩の標本より大かったりしますから混乱しているのかも。
 地図を見るときに、家を探すなら住宅地図、車で出かけるときは道路地図、山の形を知りたいなら地形図といったいろいろな地図を使い分けます。使い道によって便利な縮尺が決まってくるからです。山の地図には、住宅の名前は必要ありません。逆に住宅の地図には山などが入ってきません。地図の縮尺によって書かれている情報が変わっています。
 地学でも同じことで、岩石の名前をいうときに元素の構造がどうなっているとか、プレートが沈み込んでいるとかそういった情報は必要ありません。そのレベルに応じた、ものの見方を使いわかることが大事です。
 地図には、必ず縮尺が書かれています。だいたいは、適当な長さの棒があって、これだけ離れた場合何kmですというように示されています。これをスケールといっています。このスケールを目安に距離を考えてくださいという意味になります。
 地学にはいろいろな階層があります。それぞれにあった大きさを示すスケールが必要なのでしょう。でも、大概は主要な用語を聞いたとたんに、だいたいのスケールが想像出来ているのではないでしょうか。
 本文主題部の説明に書かれているスケールの意味は、どちらかというと規模といった方が近いようです。各問も含めて先にいったようなないようで使われているのは、問2のみのようです。他の問題ではわざわざスケールという言葉を使う必要はなさそうです。問題文には大きなものがあげられていますが、実際には、原子のレベルといった非常に小さいものや、地盤の変位によって地震が発生するようすとか隕石が衝突したというような非常に短かい時間も取り扱うこともあります。
 出題者が使っている「スケール」とは違うのではという印象を受けます。ここに書いたことが間違っているのかも知れませんが、意味が通る言葉を使っていないと読む側が苦労します。ここでは発生していませんが、問題文のとらえ方が変わってしまうようになっては大問題です。言葉はしっかり選んで欲しいと思います。

 第1日程で生物の平均が高いので、調整がおこなわれました。地学受験者に対して、受験者数が少ないということで調整の対象となっていません。地学の平均点が他教科と比べて差がある場合はそれでもいいのですが、この場合は明らかに生物の問題によるものですから、地学受験者に対しても調整が入ってもいいのではないでしょうか。実際には生物が高いのなら、生物受験者から原点する方法でするのが筋のような気がします。


posted by ヨッシン at 00:00| 雑記