先日書いたことからもいえるのですが、いくつかの問題で、専門的に知っている人が作っているのかなというような気がします。
たとえば、第5問の問6について考えてみます。
問題文では、高温の主系列星がない理由を聞いていますから、これだけでは何の問題もありません。気になるのは、このことからこれが球状星団であると書かれている点です。論理の展開が逆のようで引っかかりを感じます。
球状星団と散開星団の違いはいくつかあります。球状星団では赤や黄色の星が多いのに対して、散開星団では青っぽい星がたくさん見られるというのもその特徴の一つです。
ところで、星団の中の星は、地球からの距離がほぼ同じと見なすことができますから、HR図は距離を測定しなくても作成ができます。
実際にHR図を作ってみた所、散開星団と球状星団で図の形が全く違っていることがわかったのです。
一部の散開星団をのぞいて、星団内にはガスがなくなっていますから、星の形成は止まっているものと考えられます。従って、星団内の星は、ほぼ同時にできたと見なすことができます。
HR図を見ると、星がだいぶばらけているヒアデスのような散開星団では主系列星が中心で、青色巨星にあたる部分がなくなっているものがあります。これは赤色巨星に変わり始めていることを示しています。
どのスペクトル型の恒星が赤色巨星に変化し始めているかを、恒星の進化のようすと比べてみることで、星団の年齢を決めることができます。
球状星団ではF型星あたりが赤色巨星に変化していて、古くにできた星団だとわかります。このことは、恒星の中に含まれる重元素の割合から推定される古さとも一致しています。どちらかというと、漠然と球状星団は古いのではと考えられていたものが、HRで裏付けられたという所でしょう。球状星団が古いからHR図はこのような形になるのではなく、HR図がこのようになっているから古い星団だということがわかったと考えるべきです。どうして球状星団が古いといえるのですかと質問されたときにどう答えますか。HR図がこのようになっているからという答えはできなくなります。
散開星団にも青色巨星が赤色巨星に変化しているものがある所を見ると、高温主系列星が赤色巨星に進化しているから、球状星団であるとは言い切れないような気がします。
星団Yが球状星団であるというのは、黄色い星を主体としているということからわかります。このような論理展開は必要ありません。
2021年01月20日
共通テスト「地学」の問題についての感想とか
posted by ヨッシン at 00:00| 雑記