帰ってきた次の日は荷物や部屋を整理していました。なにげなく、メモの貼っているボードを見ると、医者の予約票が目に入ってきました。昨日に予約していたのを完全に忘れていました。連絡を入れようとしたのですが、その日は定休日です。翌日は、開いている時間帯にうまくあわず連絡できず、電話を入れられたのは翌々日、すっぽかした日の3日後になりました。
連絡をすると、先生から電話があるとのことなので待っていました。返事がなかなかかかってきません。再度電話すると、診察中の先生につながれてしまいました。受付レベルで話が済むと思っていたこともあり、謝るタイミングは逸してしまいました。そのこともあわさってなのか、ひどくしかられてしまいました。小言を言おうとしていたようにも思えたし、患者の目の前で怒っていることもあり、少し不快な気持ちになりました。
新大阪に着いた時点で診察時間は過ぎていました。覚えていたとしてもいくのも不可能でした。連絡手段も簡単には思いつかなったようです。台風の影響で予定通り帰れなくなったうえに、帰った日も電車が止まっているとかで完全にそこから意識が離れていました。どちらかというと、旅行の準備段階から意識がなかったのかも知れません。暑いから9月にするといっていた時に、8月末を主張していればこのようなことにはなかったでしょう。
今回の旅行記のタイトルはなかなか決まりませんでした。甑島を代表する物があればそれをヒントに考えようともしました。何も思い浮かばず行き詰まります。文章を書きながらタイトルを修正していったこともあります。そのうち何か思いつくだろうということで、とりあえず「甑島旅行記」で始めました。
書いている間に、国内各地に点在する来訪神の行事がユネスコ無形文化遺産に登録されたという報道がありました。甑島の「トシドン」がすでに登録されていましたが、それに追加する形で何カ所か登録されたものです。
「トシドン」については下甑島のバスの中で説明があったみたいですが、その時は理解できずにいました。来訪神とは、季節の変わり目に神が各家を訪問し、悪さをしているこどもをたしなめていくというものです。秋田の「なまはげ」が有名です。
音のひびきがいいので、何かとあわせてタイトルにできないかと考えました。初めは頭の中で「トシドンどんどん」という音節が巡っていました。そのうち、後にもう一つの名物であるトンボロをつないだ音節も、勢いよく入ってふわーとぬけている語感が気にいっています。他になにも思い当たりそうもないので今回のタイトルは「トシドントンボロ」に決めました。
タイトルを決めるために、甑島について調べている内に、椋鳩十の書いた「孤島の野犬」という物語に行き当たりました。上甑島には甑犬という種類の犬がいたそうです。西郷隆盛の連れている犬もこの系列といわれています。戦時中は軍用犬として使われていたこともありました。敗戦機運が高くなってくると放置され、一時は野犬として出没していたものの、その後姿を見せなくなりました。そのあたりのいきさつが物語にされているようです。
物語を読んだことはありませんし、読んでいたとしても国語の成績はいつも及第点でしたので、書評を書くことは控えさせていただきます。作者のいいたかったことは何なのかという意見を見ていると、命の大切さを訴えているという評価が多い中、身近過ぎて何とも思わないものの中にも大切にしないといけないものがあるというものを見ました(別のものだったかな?)。
当時甑犬は野犬として跋扈していました。邪魔な存在だったのでしょう。そのために薬殺されいなくなってしまいました。その地域独特の犬がいるということは、その犬が文化や風習などを継承していることを意味しています。評価はこのあたりの事も加味してだされたものなのでしょう。
作者の飼っていた犬が、戦時中の大変な時期に飼うなどというのは非常識ということで、作者の留守中に村人に処分されたといういきさつもあります。心に余裕がなくなったときには、大事なものを見損ねてしまうことがあるようです。
地方はじり貧だといわれます。都会の便利さに比べるとどうしようもありません。でもそれなりの価値はあると思います。要はそれに気づいているかどうかということです。うまくいっているところは、それを世間にアピールできたところのようです。
甑島についてはどうでしょうか。海産物については良いものがたくさんあります。気にいっているのがタカエビです。甘エビと同じといっていいでしょう。プロにわかるわずかな違いがあるようです。出され方によっては逆転することもあるでしょう。というより一般人には違いはわかりません。こちらの方が身が大きい分食べ応えがあります。
キビナゴも燻製が気に入りました。宿毛など他の地域でも名物としているところがあります。他との違いをどう出すかが課題です。他の魚なども、新鮮なものが多くおいしいようです。このあたりは覚え切れていません。
問題なのは、産地として甑島を出せないことです。海産物の産地は、それを水揚げした港のある場所になります。甑島で採れても川内港や串木野港でおろせば、川内産とか串木野産になります。甑島で水揚げして全国に配送するシステムを考えないといけないでしょう。もう一つ、いかにアピールするかという課題もあります。
観光地としてよかった場所は、何といっても長目の浜でしょう。これだけの沿岸砂州が続いているところは他にありません。全景が確認できるのも利点です。どこともそうなのですが、トンボロについては市街地化しており、海岸も護岸で覆われるなど元の状態がわかりにくくなっているのは難点です。
甑岩とその周辺の地層は独特のものです。それによって周辺の地形も他に見られないものになっています。これも見応えがありました。遠くからでしかみえなかったというのは残念でした。正確な場所は公表されていませんが、この付近の地層から恐竜化石が発見されたようです。観光客を呼び込む目玉にはなるでしょう。来てもらった人の対応はどうなるのでしょうか。篠山方式(採集禁止)にするのか天草(御所の浦)方式(採集可ただし重要物は持出し禁止)にするのかは考えどころです。
鹿島断崖も立派でした。地層の縞模様の入り方など独特なものがあります。このあたりのことも知ってもらえるようにしたらとは思います。陸地側からなので、全景が眺められないのは残念でした。船からも見られるようになってはいますが、あの程度の天候で欠航するようではどうかなと思います。
下甑島北部の地峡の場所も見事です。記事には馬の背と書いています。馬の背と呼ばれるはたくさんありますが、両側に海になっていて、しかも長く続いているのはここだけのようです。
中甑島と下甑島との間に橋が架けられています。どちら側からも、その橋をみるのを観光コースにしているようです。甑島の人から見ると橋は珍しいものなのかも知れません。でも、見た感じではどこにでもある橋といっしょです。人を呼び込むにはどうかなとも思います。橋の上から海をみるとか、魚釣りができるとか、何かプラスアルファになるものが必要でしょう。
橋ができた後、甑島はどうなるのでしょう。今は上甑島と下甑島とで別々にまわっています。それぞれに拠点が必要でした。島がつながってしまえば、同時にまわることができます。拠点はどちらか一方で足りるでしょう。集約されていく可能性があります。
2019年06月17日
トシドントンボロ 43 感想余談など 1/2
posted by ヨッシン at 23:52| 旅行記