する事もないので、とりあえず風呂に入ることにします。温泉です。といっても横の地獄谷からの噴気が流れ込んで来ているのか温泉のにおいなのかよくわかりません。
出てきてくつろいでいると、晴れてきたという情報が入ってきます。必要な物を持って外に出ます。まだ少し雲はあるものの晴れ間が広がってきています。すき間からは星がくっきりと見えます。
観察のしやすそうな広場の方に向かって歩いていると、星座を教えて欲しいと聞かれたので夏の大三角と火星を教えてあげました。
狙いは流星ですが、それ以外にも見たいものがあります。1つは大気夜光でもう一つは対日照です。大気夜光とは、上空数百kmにある酸素原子が昼間の太陽光を受けてイオン化し、夜間に電子を吸収して普通の原子に戻るときに光を放つという現象です。緑色に光る薄い雲のように見えるといわれています。エアグロウともいいます。
探してみたのですがよくわかりません。星が明るくて背景の色までは確認できません。ただ、星を眺めていると、暗い星が団子状にかたまっているようにも見えます。背景が大気夜光で明るいとその部分に星がたくさんあるように見えているせいなのかも知れません。上の方、天の川のない方にカメラを向けて何枚か写真を撮ってみました。何となく、緑色とその補色の紫色の斑があるように写っているようにも見えます。

少しピンぼけです。たまたま流星の写ったものです。どこの星座なのかは不明です。
雲が出てきたのでここまでにして、南側の晴れている方向にカメラを向けます。火星が明るいので、火星を使うとカメラはピントを合わせてくれました。わずかな露出時間でくっきりと天の川が写ります。これほど見事なのは小笠原以来です。

雲も写っています。だんだん広がってきて次第に星が見えなくなってきました。機材はそのままにして、しばらく休憩することにします。だいぶ寒くなっています。防寒がたりないようなので、合羽を上に重ね着することにしました。この間に取りにいきます。ついでにトイレにも行っておきます。しばらく建物の中で待避です。ほとんどの人は、星見をこの時点で終了していました。
30分ほどしてもう一度空を見直してみると、再び星が出始めています。星の写真を撮り始めます。頭上方向の天の川です。イルカ座が見えます。

アンドロメダ座とペガスス座です。銀河もしっかりと写っています。

真夜中に近くなってきています。そろそろ、流星の写真を写し始めることにします。対日照のことはしっかり忘れていました。
1台目のカメラです。このサイズだとわかりにくいのですが、ペガスス座が中心に入っています。上が頭と前脚で右が背中側になります。右下にわずかに山が入っています。

2台目のカメラです。だいたい背中合わせの範囲が写るようにしました。天の川が中央右側を斜めに横切っています。天の川上で下側の明るい星がデネブ、上側にカシオペア座のWが半分だけ写っています。左側の明るい点は、アンドロメダ銀河です。

30秒ごとに25秒露出で撮影をします。カメラが自動的にシャッターを切ってくれます。後は放置してりゅうせいを見るのに集中します。ベンチの上で寝転がって上空を眺めます。途中何度か睡魔が襲ってきますが、振り払って眺め続けます。
夜半頃にカメラを見るとレンズに露がついているのがわかりました。冷え込みがかなりきつかったからのようです。いつ頃からつき始めたのか気になりますが、これは帰ってからチェックすることにします。復帰が優先です。
拭き取ってはみたものの、なかなかきれい取れません。そうこうしているうちに、再び雲が広がってきました。今度の雲は厚そうです。これ以上の観測は無理でしょう。カメラの露も取り切れませんので、ここで終わることにします。流星がいくつ見えたか数えていませんのではっきりいえませんが、30個は流れていたでしょう。
流星がいくつ写っているかも気になりますが、これも帰ってからにします。今のところは寒いので、機材片付けを優先にします。
部屋に戻ってからは、温泉で体を温めてから就寝しました。機材は邪魔にならないところに置きます。片付けるのは他の人のお休みの邪魔になります。薄暗い中では作業ははかどりません。
翌朝聞いた話では、夜半をすぎてからはずっと曇っていたそうです。切り上げて正解でした。
続く........