前回までで、太陽に向かった方向に対してどちら側に金星がいるかで、明けの明星か、宵の明星かが区別できる事がわかりました。
ここで、いったん惑星の軌道の図に戻ります。1月に金星が太陽と重なってから、金星は太陽の左(夕方側)にいました。いったん太陽から離れたものの再び太陽に近づき、次に太陽と重なったのが10月です。こうなるパターンとして考えられるのは、2通りあります。1月が外合(太陽の向こう側にいる)で10月が内合(太陽の手前側にいる)の場合か、1月が内合で10月が外合の場合です。
内合の前後で金星の見える時間がどうなるでしょうか。金星の公転周期が地球より早い場合、金星は地球を追い越していきますから、右に移動します。右は明け方側ですから、宵の明星から明けの明星に変わっていくことになります。逆に地球の公転周期の方が短い場合は、地球は金星を追い越していくので、金星は進行と反対側の左側に移動しているように見えます。これは明けの明星から宵の明星への変わりかたです。
外合の前後には逆のことが起こります。金星の公転周期の方が長い場合は外合の前後で宵の明星から明けの明星への変化が起こります。
1月から10月まで夕方見えていたということは、金星の公転周期が短い場合は10月が内合で、長い場合は1月が内合になります。
金星の公転周期については、学習済と思えます。どちらの場合になるのかは見当がつくでしょうしょう。念のために、まだ習っていないときのために考え方を書きます。ここで使うのは、問題文にある、一定の速度で公転しているという記述です。
太陽から、地球と金星をみたとします。公転周期が違っていますから、一度重なって見えてもだんだん離れていきます。離れていく速さは、地球金星の公転速度の差になりますから、一定の速さになります。これを地球からみたとして太陽の方向を固定して考えてみます。金星は太陽を中心とする円上(これも問題文の条件に書かれています)を進んで行くように見えます。この時金星の方が速(公転周期が短)ければ左回り、遅ければ右回りになります。
ここで問題文にあった、8月に太陽からもっとも離れたという記述に注目します。金星が太陽からもっとも離れて見えるのは、金星が地球からみて金星軌道への接線上にいるときです(これを最大離角といいます)。この角度は45度となっていますから、太陽からみて金星地球は45度(180度−90度−45度)離れた位置にいることになります。
再び、最後に残った2つの可能性について検討します。太陽地球を固定した図を書いてわかるのは、外合−最大離角の長さに比べて内合−最大離角の長さの方がはるかに短いということです。1月から8月までよりは8月から10月までの方が短いですから、8月から10月までの期間は最大離角から内合までの期間であることになります。つまり、10月は内合であるということです。
と延々と説明してきてやっと1月がC点10月がD点という結論に達しました。おそらくこの方法は、この問題に対する正しい解き方とはいえないでしょう。問題が適切なものだとすると、昨日の最初に書いたのが出題者の考えている解き方ということになります。ところで、本当にそこまで教えているのでしょうか。
解答欄を見ていて思ったことです。記号を選ぶ問題は解答欄の記号を丸でかこむようになっています。記号で書きなさいという解答を採点していた頃は、まれなのですがどちらの記号とも読めるものがありました。こうすることでこういった煩わしさから解放されたことになります(早くしとけよ!)。印が2つにまたがっていたりとかはないのでしょうか。いっそのことマークシートにすればいいのにと思います。昔は機材の導入にン百万円かかるとかでできないといっていました。採点する教員の人件費はいくらかかっていると思っているのでしょう。残業代は一定額支給済なので、いくら仕事量を増やしても経費は0円というのでしょうか。
2019年03月14日
大阪公立高一般選抜学力検査問題から(3)
posted by ヨッシン at 23:59| 雑記