2020年12月07日

GOTOを中止しないといけないわけ

 感染者数が増える一方で、経済活動を取り戻すためのGOTO何とかという政策で、補助金を出しまくっています。いったん中止にすることを検討するどころか、延長するとまで表明しています。その上で、政府は一時中止するのなら各自治体の判断でやってくれという投げやりな態度までとっています。中止したことの、責任を自治体の首長に押しつけようとしているようにしか見えません。
 基本的なコンセプトは、GOTOで感染者数が増加するというエビデンス(こんな訳のわからない英語でごまかそうとすること自体不快です)がないということなのでしょう。世間巷でいわれている、「コロナはただの風邪」、あるいは大臣のいった「民度か高いから感染が広がらない」とでも思っているのでしょうか。こういう人たちに国を任せて大丈夫なのかという危機感を持っています。問題点はたくさんあります。思いつくままに述べていきたいと思います。

 エビデンスはないのか
 エビデンスは化学的根拠と解釈しておきます。よく思い出して欲しいのは、8割おじさんのいったことばです。人との接触を減らせば感染者の増加を抑えることができるという言葉です。科学的に説明されています。この言葉の裏には、減らさなければ増加を押させることはできないということが示唆されています。最近のWHOの報告でも、人の移動と実行再生産数(一人の人が何人にうつしているか)との相関関係が認められてきているそうです。人が動けば感染が広がるというのは常識になりつつあります。
 翻って、GOTOはどうなのでしょう。人との接触の機会を増やすことになります。当然その過程で感染が広まるのは当たり前です。これでもエビデンスはないというのでしょうか。
 百歩譲ってそれでもエビデンスがないというのなら、逆に質問してみたいと思います。「GOTOトラベル(以後単にトラベルと書きます)で感染者が増えないというエビデンスがありますか」答えいうまでもなくNOです。どちらもNOとしても、どうするのがいいのかは自明です。最悪の場合を想定すべきはずです。感染者が増えすぎてで経済活動どころではなくなったら、元も子もありません。

 感染者数の推移を見るとトラベルが始まって、いったん増えたもののすぐに減っていっています。よく見ると感染者の増加はトラベルを開始前から始まっていて、しばらくしてから減少に転じています。
 実際にトラベルの影響がでてくるのは2週間過ぎてからになります。これは減少に転じ始めた頃になります。推移を見るとトラベルによって減少していたように見えます。
 感染が拡大しているのかどうかは、感染者数よりも実効再生産数で見た方が良いでしょう。再生産数のピークは7月の始めにあり、その後徐々に下がり始っています。まだこの時点では1を越えていますから感染者数は増えていますが、その勢いは弱まっているといえます。
 それが8月10日過ぎにいきなり減少していく割合がとまります。この時期はトラベルの影響が出るとしたら現れ始める時期になります。さらに、その後は再生産数がわずかずつ増えていきます。このあたりはトラベルの影響と見た方が良いでしょう。
 東京発着のトラベルが始まったり、イートが始まったりという影響が出始める時期にさらに一段再生産数が増えているように見えます。これらのことを総合してみるとGOTOが感染者の増加に一役買っていると見た方が良いでしょう。

 トラベルの利用者と感染者数の関係を見ることにします。手元に残っている数字では、一週間に延べ4万人が利用してそのうちのトラベル関係の感染者数は44人増加した事になっています。ここでまず数値に注目して欲しいのですが、旅行者数は延べで書かれています。2泊したら2人になりますから、実際にはこれよりも少ない考えないといけません。
 このことを頭に入れながら単純にこの数値を使ってみます。100万あたりに換算すると110人になります。これは12月7日現在の122人とほとんど変わりません。トラベルの影響をとった時期はもっと前なので、全国平均での実数は少ないはずです(東京はこのあたりの数値でずっと変化はありません)。
 このようなことを総合すると、トラベルをしない人よりも多いのではないかと思えてきます。数値があやふやなので、これで結論づけない事にしておきます。前段で書いたことで十分だと思います。

 トラベルによる地方への感染拡大については、前回書いたとおりです。実際にアメリカなどでは、人の動きによって都市部から地方へ感染が拡大しているのがわかります。

 感染拡大を防ぐために少なくとも人との接触を減らす(他にもいくつかしあります)ことが大事です。GOTOはそれに反することのなので、感染者が拡大しているこの時期に推し進めるのは問題です。
 GOTOのような人の移動を促すような政策を推し進める(アクセルという表現か使われています)ことで、動き回って大丈夫という気持ちを起こさせるのも問題です。正常性バイアスが働き、じっとしていられず動き回るのに都合のいい解釈の材料を提供しているのも問題です。

 一部に、コロナは単なる風邪だから、感染者が増加しても何の問題もないという意見もあります。コロナと新型コロナは別物で一緒くたにして欲しくはありません。新型コロナといっているにしてもそれに一応反論しておきます。
 欧米での感染者数、死亡者数の実体を見ていますか。一歩間違っていたらこのようになっていたということを考えた事がありますか。ベッドで一晩咳や熱でうなされて寝られなくても軽症だということがわかっていますか。症状が治った人でも長期間後遺症に悩まされている実体がわかっていますか。急病になっても病院にいけず症状が悪化したり死亡したりする人がいることがわかっていますか。

posted by ヨッシン at 00:00| 雑記